1. 第8回 ガーデン・ゲート

吉谷桂子さんのガーデンデザイン講座

第8回
ガーデン・ゲート

夢の扉…?
英国の家々には、たいてい素敵な庭があり、さらにはその庭を優しく守るかのように、素敵なガーデンゲートがついていることが多い。それまでの、私が知っていた日本のそれは、門扉と呼ばれる、どちらかといえば、庭という叙情性のある空間のためというより、防犯やプライバシー保護のための機能や実用を重視した、どうかすれば(言い過ぎかもしれないけれど)家という「監獄の扉」にしか、見えないものが多かった。 なので、この英国のラブリィなガーデン・ゲート(と英国人達が、名付けた扉)がとても魅力的だと思えた。

我が英国の親友宅のゲート、彼女がデザインし、クラフトマンにオーダーしたオリジナルで、請求は300ポンド(約¥58.000くらい)だったとか。 まだ新品で、周囲から浮いて見えるが、雨風にあたるうち徐々にフィットしていく。

いつかは、なんらかの形でこのようにラブリィなゲートを日本の自宅でも再現したいと思い、さっそく私はこうしたガーデン・ゲートの観察と研究に取りかかった。 英国じゅうを旅しながら探してみると、これがもう実に豊富!だった。量産されたようなゲートは珍しく、ありとあらゆる表情のゲートがいろいろあるのに驚いた。 それは地方に点在する有名庭園ばかりでなく、気をつけてみるとロンドン市内の、私が住んでいた家の近所の住宅街にもさまざまなゲートを発見できた。

主流となるのは家同様のクラシックなデザインで、あくまでも、周囲の景色との調和が第一の目的で、デザインされたらしいゲートだが、防犯を目的とする頑丈そうなゲートは珍しく、ガーデンゲートはむしろ、飾りの役割が優先しているように見受けられた。

また、これらのゲートはひとつとして同じものに出会うことがなかったので、いったいこれほどたくさんの種類のガーデンゲートが、何処に行けば購入出来るのかを知りたいと思い、さっそく知り合いのガーデナーに聞いてみた。 するとこれは、実は今も英国に残るクラフツマン・シップの存在によるところが大きいのだそうで、鉄工、木工それぞれの職人によって、殆どのゲートがひとつひとつ、注文による手作りなのである。という実状に驚かされた。

レニ・マッキントッシュ風の格子パターンは、今世紀はじめのアーツ&クラフツスタイル。 時々、こうした和風にも見える格子のゲートを見かける。

貴族の庭園のゲートは、壮麗なアイアン・ゲート(鋳鉄・練鉄)が主流だ。有名な鍛冶屋さんの一生の記念になる大作といった感じ…。
ふつうの個人住宅や、田舎のコテージ・ガーデンは、村の大工さんや小さな鍛冶屋さんが作ったに違いない素朴なものが見つかるのだが、きっと、図面もなしでクラフトマンの長年の勘で作られたであろう、オリジナルなムード漂う逸品があちらこちらで見つかった。

アイアン・ゲートは、やはり黒よりましな色はない。 他の色は安っぽく見える。と、いうのが一般的な見解。 コッツウォルドのマナーハウスのゲート。

さて、具体的にどんなものか。ここで簡単に、私なりの独断と偏見による分析を…。ガーデン・ゲートの具体的なデザイン・エレメントは、およそ4つ。

  1. 素材は木か鉄か。(日本で多く見かけるアルミなどといった量産むけ素材は絶対に存在しない)木はティンバー・ゲートであり、鉄はアイアン・ゲートである。個人的には、ティンバー・ゲートが断然好き!
  2. ゲートは家にとってはシンボリックな存在だが、その家と周囲の塀や生け垣、近所の環境との調和、その家のアイデンティティとしてのペイントを何色にするか。ペイントしない場合、素材の木材が美しくウェザードするのに、最低雨ざらしで、一年以上は待たなければならない。
  3. 機能面で、それは内と外の境界を優しく遮るものか、完全に遮断するものか。
  4. デザインはデコラティブかシンプルか。どちらにしても形が美しくて魅力があれば、迷うことこの上なし。ただし、華麗なアイアン・ゲートなら、庭はフォーマルなデザインであるべきだし、ティンバーの素朴なゲートなら花やハーブの咲き乱れるコテージ・ガーデン風が似合うので、それも、やはり、前述の2、に沿ったスタイルで踏襲するべき。

以上の点をふまえた上で、さらに、ゲートにはアーチをつけたり、そこにツルバラでローズアーチにしてみたり、ツゲやマツで樹木のアーチを形成するのも選択肢のうち。左右はどんなフェンスで囲うのか、それとも生け垣ならどんな樹種にしよう…。う〜ん、迷う…と、なると、すぐには答えが出そうもない。

現在の日本では、ガーデンゲートをクラフトマンに注文するなど、少しばかり突飛なアイデアかもしれないが、これからの一生をそこに住み、毎日使い続けるつもりとあれば、多少の出費は覚悟のうえで、ラブリィなガーデンゲートを手にいれたいものだと思う私、皆さんのお考えはいかが?

イント色を楽しむなら木製のゲート。 個性的でチャーミングな印象が作れる。 出来れば、庭に咲く花のひとつと、同系色だったらステキ。

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