1. 第4回 バックドロップ

吉谷桂子さんのガーデンデザイン講座

第4回 
バックドロップ

バックドロップとは、背景のこと。
植物が引き立って見える背景は、庭を一枚の絵として完成させるためのもっとも基本的な要素だと思う。

何故かといえば、庭を「一枚の絵のように」といわれてピンと来ない方は、自分で撮影した一枚の草花の写真を想定していただきたい。素晴らしく魅力的な被写体である草花も、そのバックドロップが被写体のテーマにそぐわなかったり、被写体を生かすような色彩や構図について、まるで無関心なものであったなら、それがどのような結果になるか...。 逆に、ある程度シンプルで、被写体とのコントラストが美しい単色などのバックドロップが用意できれば、いかなる平凡な花も美しく見える。

このことを痛切に感じたのは、英国に住みはじめてまもなくのこと。明けても暮れても園芸に熱中していた私は、ブラッと立ち寄った園芸店で、思わず一目惚れした植物をよく衝動買いしていた。周囲の景色との調和など考える余裕すらなく、衝動買いした植物を先着順に並べる日々であった。それで、あるとき、ハッと気付いたのである。
「何かに似ている!」これは...。
そうだ、日本の町中でよくみかける、植木鉢のゾロゾロ陳列園芸の姿そのままではないか?

そのとき住んでいたロンドンの閑静な住宅街では、どの家にも草花が添えられていた。家という背景に合った植物、生け垣やフェンスなどの背景にあった植物がバランス良く植えられていたが、私のように、雑多なさまざまな植物がゴチャゴチャと置かれる家はなかった。 しかも、そこで選ばれている植物は単純で、育成の簡単な品種が多く、植物個体の興味深さより、環境における調和のほうが優先されていた。

「なんかマズイかも!」

さて、それに気付いてからというもの、周囲のお宅を見習って、くすんだ赤茶のレンガには、あまり華やかすぎない柔らかな色調のゼラニウムを選んだり、また、そのゼラニウムのピンク色を活かすようなライムイエローのアイビーを添えたりと、自分の家全体、あるいはシックな街並みに合わせて庭の植物を選ぶよう改心したことはいうまでもない。

派手な色彩の宿根フロックスが、バックドロップとなる真っ暗な色彩のイチイに映える。

そうして、バックドロップと植物の関係をテーマにロンドンの街を歩けば、白い壁のお宅では、濃い緑のアイビーと真っ赤なゼラニウムの寄せ植え、あるいは、全体に同系色で白い花ばかりとハイセンスな窓辺、また16世紀からずっと残る古い教会のダークな色彩のレンガの壁には、かなり華やかな色彩のペチュニアが映えて、どんな花も、組み合わせ次第で、素敵に感じられることを学んだ私であった。

コントラストのはっきりした家のデザインに負けない真っ赤なゼラニウムのハンギング。 この場合、同じ花のコンテナを左右対称に連続させることがポイント。

背景は構造物ばかりではない。 輝くようなオレンジ色のポテンティラの花の背景に、葉群が黒っぽい色調のダリア・リランダフビショップを配されている。

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