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庭を彩るカラーリーフたち

2005年1月  ツゲ・ボックス

     
 
斑入りのツゲ
 
 
[学名] Buxus B.microphylla・B.sepervirens
ツゲ科 常緑 小低木
 
     

ツゲ
福岡県久留米のツゲのトピアリーの農場

 みなさんは、ツゲと聞いてどんな植物をイメージしますか? 和風庭園のイメージでしょうか。私は、ツゲといえば英国庭園でおなじみのトピアリーやヘッジに使われるボックスのことを思い浮かべます。ツゲはイタリアに発祥したローマンスタイルの庭のトピアリーとしてもお馴染みの植物です。世界中に約70種ほどの品種、自生地も世界中にあり、基本的に強健な植物といえそうです。

ツゲ
 ツゲの最大の長所は、刈り込みに強い点です。頻繁にハサミを入れても萌芽力が優れている点が、このツゲが古代ローマでも江戸時代の日本庭園でも、さまざまな形に刈り込まれ愛されてきた理由でしょう。一年でもっとも寒い1月から2月にかけては、ほとんどの庭の植物が、たとえ常緑樹でも寒さに耐えて縮こまっています。そんな中、ツゲだけが、まるで彫刻のように寒さにびくともせず泰然としています。特に冬は頼もしさを感じる存在ですね。このツゲが庭作りに欠かせない存在であることは間違いないのですが、私が思うほどには「日本の洋風庭園」で、ポピュラーになっていないような気がします。

ツゲ
 ツゲを丸く仕立てて庭に配置するだけで、他の暴れて見えがちな宿根草のあいだで、目を休ませるポイントになります。花の庭をデザインするときには、必ずこのツゲの仕立てを合間合間に配置することで、眺めを引き締める役目をしてくれます。
 さて、おもしろいことに(というか当たり前かもしれませんが)日本では日本原産のツゲ(B.microphylla)、英国では、英国原産のコモンボックス( B.sepervirens)が一般的です。この両者はもちろん似ていますが、雰囲気は...、かなり違います。

ツゲ
 どちらが好きかといえば(いいにくいのですが)私は圧倒的にコモンボックス、英国原産が好きです。決して隣の芝生が青く見えるという意味ではなく、日本には日本原産の素晴らしい植物が数あるなかで、やはり、ツゲだけは...。これがどうも、日本原産のほうは、やはり和風庭園の趣で、雰囲気も男性的です。葉が暗い色で小さく硬く、枝もがっちりとしています。それに対して、英国のツゲは葉色が軽やかでハサミを入れると良い香りが立ち、葉や枝がしなやかで優しく女性的な印象です。

ツゲ
  英国のツゲによるトピアリー仕立て。アクセントとしてだけでなく、整った印象が好まれ、表玄関や表通りに面した庭などでも、よく見かける。

なんといっても、私はこのツゲを刈り込んだ時の匂いが庭一面に溢れる庭が、夢に見るほど好きなのです。いつか英国のツゲで庭をいっぱいにしようと、8年ほど前からせっせと日本でも挿し芽でたくさん増やしたというわけです。
挿し芽は、剪定枝を土に挿して簡単に増えました。ただ、成長がとてもゆっくりなので、日本で栽培を開始して8年が経つ今も、あまり大きな株にはなっていません。親木も、8年前に10センチだったものが、今やっと30センチ程度にになったところです。

ツゲ '97年に私が大阪でデザインした子供のための庭

  栽培そのものはそれほど難しくもなんともないのに、なぜ、英国産のツゲが日本であまり流通しないのか。あまり売っているところを見かけません。他にたくさんの華やかな輸入品種が溢れる中、売れないものは流通しないという原理なのか、ちょっと残念です。しかし、案外気の利いた園芸店などで見かけることもありますので、注意して探してみてはいかがでしょう。

ツゲ
 特に、斑入りのツゲ、B.sepervirens 'Marginata'なども、たまに「斑入りのツゲ」として見かけます。性質は基本的に強く、風通しさえよくすれば問題は発生していません。基本的には寒さにも暑さにも強く、冬も夏も頼もしい寄せ植えの味方です。
一度購入したら、10年、20年と時間をかけて大きくしてゆく楽しみがあります。動物の形に仕立てるのもおもいしろいでしょうが、シンプルなボール仕立てなどにすると、庭の美しいアクセントになります。


【Other information】
用土=腐植質に富んだ水はけと通気性の良い土。コンテナ栽培の場合は、市販のコンテナ培養土なら赤玉(中)を3割増しで入れる。通常の花苗より、土を少し重たくすると良い。植え付けの際、市販の土壌活性剤を加えるとなお良い。(植え付け時に活性水に浸すか、株元に散布)
施肥=1〜2月に油かすか有機堆肥、秋、冬越しの準備として表土に完熟堆肥や腐葉土などでマルチング。
剪定=冬から初夏までがベストシーズンだが、飛び出した枝を切ったりと、軽くて細かい剪定は年中OK。思い切った剪定をするのは、春。
 丸や三角など幾何学模様にしたい場合は、ワイヤーなどで理想の形状を作り、型紙のように植物にあてながらハサミを入れる。動物の形などは、彫刻と同じで、仕上がりの形をイメージしながら徐々に刈り込んでいく。
条件=基本的には太陽を好むが、半日陰も可。
最大の注意点・その他=風通しをよくすること。風通しがわるいとカイガラムシが発生したり、その他の病気もでやすくなる。まめに剪定をして形を整えながら育てる楽しみがあるが放置して樹形を乱さないように。枝の密度が混んでくると風通しの悪化になるので時々、トピアリーの中を覗いて虫の卵や病気の発生がないかどうかチェックすること。
吉谷桂子のバラのある暮らし


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