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文化通信

第5号 : 小説「秘密の花園」F.E.バーネット

ツタが覆う壁この小説には、個人的に思い出がある。
数年前、イギリスの南西部を電車に乗って旅していたとき。
向かいの席に座っていたおじいさんが、一生懸命この本を読んでいた。日本では完全に子供向けの本だと思っていたので、とても意外だった。
そのとき線路はあちこち工事中で、電車は止まったり走ったりを繰り返していた。
「また止まった…」と皆がため息をついたとき、ふとこの老人と目が合った。
それをキッカケに老人と口をきくようになった…(そして自分がまちがった電車に乗っていることを知った…)。

今回、良い機会なのでこの本を再び読んでみた。
主人公の少女がインドで両親を失い、親戚のいるイギリス・ヨークシャー地方へやってくる。
そこは荒野の中に立つお屋敷。
夜になると無気味な声が聞こえてくる。
庭にはその家の夫人が亡くなってから閉鎖された庭園がある。
この少女が、凍てついた人の心や庭をふたたび暖かく華やかなものにする、というのがあらすじだが、手の全く入っていない庭を再生させる手順や植物・花の名前がひとつずつ事細かに描かれている。

悪天候や、土地にかかわらず花園が作れる、がんばればなんとかなる、このあたりが電車で出会った老人も「秘密の花園」を読む、イギリスのガーデナーのツボなのかなあ、と考えさせられた…。

≪第4回 第6回≫


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